- もっと踏み込んだ話を
高価なステンドグラスと安価なステンドグラスの違いや技法的種類を探ってゆきます。
1.ステンドグラスが高価な理由
とかく“高価”な印象を持たれるステンドグラスです。確かに同じ大きさの窓にはめ込むガラスとしては、通常のガラス板に比べて比較にならないほど高価であるのは事実です。しかしその理由や根拠を曖昧に理解していると、“構造的に本物のステンドグラス”と云うだけであまり価値のない物や案外安値で製作できる物を割高な価格で購入してしまう可能性もあります。
以下にステンドグラスが高価な理由を分析してみます。
■量産ができない
建物の窓はそのサッシが規格品であっても、多種多様な種類があり、設計の段階ではじめてその寸法が決まります。その不確定な寸法に対して予め製作し、在庫しておくのは実質不可能です。窓に合わせてその都度寸法を測り製作するので、自ずと受注生産と云うことになります。
■製作工程のすべてが手作業
原寸パターン作成⇒パターンカット⇒パターン貼付⇒ガラスカット⇒バリ取り微調整⇒組み立て⇒半田付け⇒パテ入れ⇒仕上げ、に至るまでステンドグラス製作の工程どれをとってもすべてが手作業です。もちろん各工程で様々な道具や、場合によっては電動工具を使う場面もありますが、それらはあくまでもTOOLであり、人の手業と目で作ってゆく事に変わりはありません。何らかの先端技術を持って行程の一部でも自動化する事は不可能ではないと思われますが、上記の“量産ができない”事が障害となりコスト面での折り合いが着かないのが現状です。
■ガラスの選択と使用法
ひとくちにステンドグラス用色ガラスと云っても半ばオートメーションで製造されている型板ガラスから行程の全てを職人の手作業により作られた物まで、実に多種多様な物があり、値段的にも5〜6倍の物も珍しくありません。また一般的に赤やある種の黄色系のガラス等は高価と云われていますが、簡単に色だけで区別できるほどその種類は単純ではありません。
極めて大ざっぱに云うと、ガラス板のどこを取っても色や質感が一様な物は比較的安値と云え、一枚の中で複数の色が混ざっていたり、極端な色の流れがある物や、質感に変化がある物は高価だと云えます。
また比較的安値のガラスでもほとんどの場合ガラスの柄(テクスチャーと呼んでいます)があり縦目、横目等、いわゆる“流れ”があります。
安値のガラスは色や質感が安定しているので無駄なく使える場合が多い一方、高価なガラスほど「この色とこの色の混ざったところ」とか「このガラスの斜め下1/3の透明感のあるところ」など、いわゆる“美味しいところ”があります。
価格に反映するのはそのガラスの選択と使用法で、高価なガラスの美味しいところのみを厳選し、流れやテクスチャーをきっちりと合わそうとすれば、一枚の元板から使用できる部分はどんどん少なくなり、自ずと手間と原材料費が上がってゆき、価格は高くなります。逆にあまり高価なガラスを使わず、テクスチャーさえも無視し、ガラスの経済効率を優先して使えば、原材料費を抑えて比較的安値で製作することもできると云えます。
■デザインによる価格の違い
ステンドグラスの製作工程はすべて手作業ですのでデザインの細かさや内容によってそれに係る手間は大きく違ってきます。極端な例を挙げると、同じ面積のパネルでも200ピースと10ピースではまったく労力が違いますし、同じ150ピースでも直線で碁盤の目の様に構成されたデザインと小さなピースの曲線で複雑に入り組んだ左右対称のデザインでは一日に進めることが出来る行程が大きく違ってきます。
細かく入り組んだ複雑なデザインが一面に描かれているようなステンドグラスは当然割高となります。
■デザインもやはり受注生産
ステンドグラスの絵柄を考える上で、そのお家に適したオリジナルのデザインを新たに考案する場合、それに係る手間と付加価値が加味されます。また何らかの様式に沿ったデザインであっても、縦横の寸法比に対するバランスや配置、配色等、その都度考察し作図する事には変わりがなく、それに係る手間と感性、技術力を省くことはできません。
何かしらひとつのパターンを用意しておいて、窓のサイズや縦横比に係わらずそのサイズの部分のみを抽出し貼り付けた様な絵柄でない限り、デザインもやはり受注生産と云うことになります。





前のページへ
ステンドグラス マルグラス トップページへ